歯痛

歯痛とは歯髄・歯根膜・象牙質・顎骨に起きる疼痛の総称で、三叉神経分布領域で起こります

上歯の疼痛は三叉神経第2枝(上顎神経)の上歯槽神経の知覚領域で、下歯痛は三叉神経第1枝(下顎神経)の下歯槽神経の知覚領域として感知されて、歯肉炎・辺縁性歯周炎・う歯などで起こり、これとは別に三叉神経痛の一部としても起こります。

歯痛を起こす疾患

  • 1
    放散性歯痛
    歯牙及び歯周組織には何らの病変が見られないのに、神経分布の関係上で、付近または遠隔の病巣から疼痛が放散するもの。
    眼・耳・鼻の疾患から放散痛が起こる場合が多い。
  • 2
    三叉神経痛
    三叉神経痛の症状については、顔面痛で詳しく述べられていますので、ここでは省略しますが、三叉神経第2枝(上顎神経)と第3枝(下顎神経)の領域が最も多く、また一側性に発症するのが約90%くらいです。
  • 歯髄充血
    局所的に流血量が増加して一過性の痛みが現れる。
    その疼痛は冷水で増強し、温水では軽減する。
  • 4
    齲蝕(ウショク:細菌浸蝕で歯に穴が開くこと=虫歯)
    初期:エナメル質が侵された段階で、象牙質に至っても浅い場合に    は、ほとんどが無痛だが、象牙質が少し深くなると冷水で浸    みる痛さを感じる。
    中期:齲歯が進行し象牙質から歯髄に至ると数分から数十分の疼痛    が現れる。
    後期:浸蝕の孔が深くなると腐敗物が停滞して歯髄炎となり、持続    性の疼痛が出現する。
    終期:進行が進むと、炎症が歯根膜に波及し、歯槽突起や顎骨に広    がり、歯根膜炎症となり、やがて歯そのものは崩壊する。
  • 5
    歯周病疾患
    歯肉・歯根膜・セメント質・歯槽骨の歯牙支持組織に病変が生じたものを歯周疾患といい、化膿すると歯肉膿瘍を構成する。歯肉炎と歯周炎に分けられる。
    1)歯肉炎
       単純歯肉炎:口腔の清掃不十分から異物の付着により    起こる歯肉炎をいう。
       症候性歯肉炎:栄養障害や伝染病によって起こる。
    2)歯周炎

      辺縁性歯周炎と歯尖性歯周炎があるが、歯尖性歯周炎は   根尖部根管からの感染・刺激により生じるものから歯周   疾患からは除外される。
      辺縁性歯周炎は、歯肉炎の炎症が深く進行して口腔細菌   の毒素と代謝物のによって歯周ポケットを形成し、歯根   膜の破壊、歯肉の萎縮、歯槽骨への浸蝕などにより、    疼痛・出血・排膿が起こる。

     
  • コステン症候群
    咬合異常で下顎頭の後方偏位による。
    持続性の難聴、耳閉感、耳鳴り、めまい顎関節痛、頭痛、舌痛などを生じる。
  • 顎関節症
    咬合異常による。
    下顎関節痛、関節音、異常運動、咬筋や側頭筋に圧痛を生じる。

現代医学の鍼灸治療

歯痛に対する鍼灸治療は、顕著な鎮痛効果を現す場合もあり、対象治療法として考えられる。

<治療穴>         

大迎、下関、顴髎、風池、翳風、肩井、合谷、聴関、オトガイ孔

東洋医学の鍼灸治療

東洋医学では、虚実に分けて鑑別しており、実証では実火・風火・虫歯によるものが多く、虚症では腎陰虚によるものが多い。

実火と風火による歯痛は歯肉の腫脹・発赤を伴い、疼痛が酷く、腎陰虚による歯痛は虚火によるもので、鈍痛として現れる。

実症

  • 1
    実火による歯痛
    甘い物・辛い物などの偏食で、胃腸に熱が発生しこの熱が陽明経脈にそって歯に影響して歯痛を起こす。
    <症状>
    激痛、歯肉の腫脹・発赤、頬部の腫れ、口臭、口渇便秘、 尿短赤、顔面熱感、舌質紅、舌苔黄脈洪数または滑数
    <治療穴>
    下関、頬車、合谷、二間、内底、上巨虚
  • 2
    熱による歯痛
    体質的に陽が盛んで内熱があるものが、風邪の侵襲を受けて風火を出現し陽明経脈に沿って歯を犯すと歯痛が起こる。

    <症状>
    激痛、歯肉の発赤・腫脹、発熱、悪寒、患部を冷やすと軽減温めると増悪舌質紅、舌苔薄白脈浮数
    <治療穴>
    下関、頬車、合谷、外関、風池、翳風、尺沢

虚症

  • 1
    腎陰虚(虚火)による歯痛
    腎陰虚のために虚火が生じ、それが骨余である歯に上炎して歯痛が起こる。
    <症状>
    鈍痛、時々歯痛が起こる、軽度の歯肉腫脹・発赤、腰膝だるさと痛み、目眩、耳鳴り、潮熱、盗汗五心煩熱舌質紅舌苔少・少津、、脈細数
    <治療穴>
    下関、頬車、合谷、太谿、照海、行間

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その他の症例

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