むくみ(浮腫)とは、組織と組織の間の液体が増加した状態をいい、局限性と全身性に分けられる。
そもそも、この液体は人の体内にある水分で全体重の半数以上を占めていて、男性で約60%、女性で約55%といわれています。
また、この体液の40%が細胞内、20%が細胞外にあり、この細胞外液は主に間質液で残りは血漿やリンパ、脳脊髄液です。
これらの体液成分は体内を移動して細胞組織へ栄養分や酸素を運び、その帰りに老廃物や病原体を運び去る働きをしています。
毛細血管の透過性亢進や腎臓による水分や塩分の排泄能力の低下などで生体内に貯留が起こった状態が浮腫となります。
浮腫は、他覚的にも腫れぼたさが見てとれ、指で圧迫を加えるとその痕跡が暫く残るのが特徴で、また体重も増加してきます。
◎一側性の浮腫:血管及びリンパ管の閉塞、血管運動神経の障害
◎低タンパク血症の浮腫:眼瞼や顔面に出やすい
◎夕方の下肢に出る浮腫:心不全
◎顔面全体の浮腫:粘液水腫、アレルギー反応
浮腫が現れる疾患では、腎疾患が多く主に腎炎では眼瞼周辺の浮腫があり、ネフローゼでは下腿または全身に浮腫が現れ、水分代謝の改善をはかるが必要で、また心疾患でも利尿効果で体内水分滞留からの心負担を和らげられる。
療養の指示では、塩分の制限が、腎疾患や心疾患では不可欠となる。
低蛋白血症や栄養失調などは栄養状態の改善を行い、肝硬変や心不全とネフローゼ症候群などでは原因疾患に対する治療自体も行い、正しいコントロールを行わなければ、長引いたり反復して「浮腫」が出現する。
<治療穴>
水分、建里、気海、天枢、足三里、脾兪、腎兪、女膝、陥谷
東洋医学では浮腫の中で、人体の水液が貯留し肌膚に溢れ、顔面や四肢または全身にわたって浮腫がおこる事を「水腫」という。
朱丹渓は前人の理論と経験をふまえて、水腫を、「陽水」と「陰水」に分類をし、腰より上の水腫を「陽水」とし実症が多く、腰より下の水腫を「陰水」とし虚症が多く、発病は三焦の気化機能失調にあり、病は肺・脾・腎の三臓と密接な関係があります。
<主症状> 初期は眼瞼、頭顔面部の浮腫、しだいに四肢・全身に波及し、腰より上部に著名に出現し、按じると陥凹するが回復が早い、皮膚光沢、小便短少
<随伴症状> 発熱、悪寒、身体のだるさ、咳嗽、 風寒性:悪寒が強い、無汗 風熱性:咽喉の発赤、腫痛 <舌脈象> 風寒性:舌苔白滑、脈腑緊(風寒の邪が表に侵襲) 風熱性:舌苔薄黄、脈腑数(風熱の邪が表に侵襲)
<治療穴> 列欠、陰陵泉、尺沢、合谷、肺兪、三焦兪
初期は足背部の浮腫、次第に全身に波及、腰より下に顕著に出現、按じると陥凹してなかなか回復しない、皮膚色は暗、小便短少
<随伴症状> 脾虚性:胃脘部のつかえ、大便溏薄、四肢倦怠 腎虚性:腰痛、足のだるさ、四肢の冷え、精神疲労 <舌脈象> 脾虚性:舌苔薄膩、脈濡緩 腎虚性:舌質淡、舌苔白、脈沈細弱
<治療穴> 三陰交、復溜、水分、足三里、脾兪、腎兪