神経症(東洋医学では鬱証)

神経症は反応性精神障害のひとつで、何らかの出来事を契機として精神症状が出現するものをいいます。

神経症には不安神経症、ヒステリー、強迫性神経症、抑鬱反応、心気症、精神衰弱、離人症があります。

神経症には根底にパーソナリティー(性格)に感情未成熟、自身欠乏、几帳面、完全性、自己顕示性、依存性など、なんらかの素因に、環境的要因で誘発されるが、ことに精神的ショックなどの情動的体験が引き金となる。

神経症の病者は病識があって自ら病気であることを認識しているが、自分の病気を過大に評価する傾向があり、自ら病気にしがみつく傾向を示していて、器質的な病変、あるいは内因的な要素は存在しないのに、外界からのストレス、や幼少期からの発達過程に於ける葛藤や不満による心の障害として現れるとされています

主な神経症

  • 1
    不安神経症
    対象の無い漠然とした恐怖に襲われ、動悸・息切れ・胸部絞扼感・めまい等の自律神経症状を伴う神経症のことをいう。
     ①パニック障害
     ②過換気症候群
     ③書痙(筋痙攣が生じて習字が困難)
  • 2
    ヒステリー
    欲求不満に耐えかねた精神が象徴的に身体症状として現れる状態をいい、転換型と解離型があります。
     ①転換型:心理的葛藤が運動障害(失立・失歩・失声ヒス       テリー性痙攣)や知覚異常(異常感覚・盲・聾・       頭痛)などの自律神経症状として出現する。
     ②解離型:意識や人格の統合が一時的に失われる。
          (もうろう状態・健忘状態・一過性異常行動など)
  • 3
    強迫性神経症
    自分の意思に反する脅迫観念に従って行動を起こし、不安感を抑えようとすると、強い不安感におそわれる。
    この不安感が特定対象を持つと、対人恐怖症高所恐怖症などとなる。
    児童や青年期に多く几帳面な人に現れることが多い
  • 4
    心身症
    欲求不満が身体症状として現れる、心理的因子(ストレス)によって起こる身体の病で、あくまでも身体症状が前景に出現し器質的病状を認める事が多いという点が不安神経症との相違点で、次の様な疾患がある。
     ①消化性潰瘍
     ②過敏性腸症候群
     ③気管支喘息
     ④過換気症候群
     ⑤片頭痛
     ⑥円形脱毛症
     ⑦アトピー性皮膚炎
     ⑧摂食障害
  • 5
     
    神経衰弱
    精神、身体両面にわたる過度の疲労、消耗感、無力感を中心にした神経症で、気分は不安定、不機嫌、憂鬱、頭重、眼精疲労、食欲不振、性欲減退、不眠なの不調を訴える。

現代医学の鍼灸治療

神経症は心因性の疾患であって、精神症状の解消を治療の主目的としていますが、精神症状に付随する身体症状においても、症状の軽減・消失させる働きかけは、患者との信頼関係を構築して、精神緊張を除き、不安感や焦燥感の改善に好影響を与えます。

<治療穴>                            百会、太陽、風池、蕨陰兪、肝兪、中脘、内関、蠡溝、太衝、行間、天柱

完骨、腎兪、陰谷、曲池、足三里、膻中、郄門、肺兪、脾兪、神門

東洋医学の鍼灸治療

東洋医学に於ける鬱証とは、情志失調、気機鬱滞によって引き起こされる病症をいい、抑鬱、情緒不安定、胸脇腸満、疼痛、または怒りっぽい、よく泣く、喉の梗塞寒、不眠などの症状が現れて、この気機の鬱滞が長期に及ぶと、気鬱から血鬱へと進行して身体器質にも影響を及ぼす。

実症

  • 1
    肝気鬱血による鬱証
    情志の失調により肝の上達が悪くなり、そのために肝気鬱滞となり気鬱の状態が改善されないと鬱証が起こる。また、気滞血瘀となり、鬱証が起こるものもある
    <症状>
    精神抑制、情緒不安、ため息をつく、胸脇脹痛、疼痛部位が一定しない、胃脘部仕え、食欲不振、愛気、腹脹、嘔吐、大便失調、閉経、舌苔薄膩脈弦
    <治療穴>
    期門、陽陵泉、支溝、足三里、足臨泣、太衝、膻中、合谷
  • 2
    気鬱化火による鬱証
    肝気鬱結の状態が長期にわたって改善されないと化火する事があり、それにより鬱証が起こる事がある。この場合の特徴は肝火による症状を伴う。
    <症状>
    イライラ、怒りっぽい、胸脇腸満、呑酸、口渇、口苦、大便秘結、頭痛、目赤、耳鳴り、舌質紅舌苔黄脈弦数
    <治療穴>

      肝兪、巨闕、足三里、期門、太衝、行間、侠谿
  • 3
    気滞痰鬱におる鬱証
    肝鬱乗脾、または過度の思慮労倦により脾を損傷し、脾の運化機能が悪くなり痰湿を生成して気滞痰鬱になり鬱証となる。
    <症状>
    喉の異物感、喉の梗塞寒、胸悶、胸部鬱滞感、胸脇痛、舌苔薄膩脈弦滑
    <治療穴>
    天突、肺兪、膻中、上脘、内関、豊隆、肝兪、太衝

虚症

  • 1
    心神失養による鬱証
    憂慮などにより心気、営血を損傷すると心神失養となり、心神不安となると、鬱証が起こる
    <症状>
    精神不振、精神恍惚、情緒変動、悲しんだり泣いたり、煩悶時々あくび、不眠、舌質淡舌苔薄白脈弦細
    <治療穴>
    通里、心兪、三陰交、内関、神門、足三里
  • 2
    心脾両虚による鬱証
    過度の心労や思慮、久鬱により脾を損傷し、気血の生成が悪くなり、心神失養となり鬱証が起こる
    <症状>
    くよくよ、臆病、心悸、不眠健忘眩暈、顔色さえない、食欲不振、舌質淡脈細弱
    <治療穴>
    神門、三陰交、足三里、脾兪、心兪、章門、太白
  • 3
    陰虚火旺による鬱証
    長期にわたって気鬱状態が改善されず、陰血を損傷して病が肝腎に波及して鬱証となる。
    <症状>
    眩暈、心悸、不眠、心煩、怒りっぽい、腰膝だるい、遺精、月経不順、舌質紅脈弦細数
    <治療穴>
    三陰交、神門、心兪、腎兪、肝兪、太谿

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