気道内の分泌物や気道に侵入した異物の排除を目的とした生理的防御反射と定義される。
機械的、化学的刺激が気道の受容器を刺激し、迷走神経を介して延髄の咳嗽中枢に伝えられて生じる症状である。
咳嗽中枢の興奮は横隔膜神経・肋間神経などを介して横隔膜・肋間筋・補助呼吸筋に伝わり、咳を起こさせる。
咳じたいは気道内の異物を除去する目的の生理的現象ですが、過度に起こると、気道内の異物を逆に奥へと押し込んだり、肺内感染を広げたり、循環器系に負担をかけたり、睡眠障害を起こしたり、カロリー消耗が過大となり体力を消耗させるなどの有害作用も併発させる。
咳嗽は、痰を伴わない咳嗽(乾性咳嗽:咽頭、喉頭胸膜疾患などに多い)と
痰を伴う咳嗽(湿性咳嗽:気管支、肺疾患に多い)に分類される。
咳嗽は気管、気管支、肺の疾患ばかりではなく、咽頭、喉頭、、胸膜、大動脈、縦隔などの疾患からも起こり、精神神経系などの疾患等の全身性疾患でも起こりうる。
痰は気道や肺の分泌物や滲出液のみではなく、膿瘍・壊死巣などが混入していて、性状から分類すると、漿液性、粘液性、粘液膿性、膿性、血性などに分けられます。
漿液性(透明) :感冒、肺水腫でみられる
粘液性(白色粘調):気管支喘息、気管支炎でみられる
膿性(黄色) :気管支炎、気管支拡張症、肺化膿症、空洞性肺結核
血性(血液点/線状):肺結核、肺がん
多量の痰は気管支拡張症、肺化膿症、大空洞の肺結核、肺水腫でみられる
咳嗽を主徴とする疾患は、一般に治療効果が現れにくい場合が多いが、根気よく治療を行うことで良い成果が得られる。 ここでは主に呼吸器系の疾患による咳嗽を想定した鍼灸治療をあげる。
<治療穴>
肺兪、心兪、天突、中府、神蔵、尺沢、大序、膻中、膏肓、頚百労
東洋医学における咳嗽は肺疾患の主要な症状の一つと考える。
咳とは肺気上逆による音を言い、嗽とは痰液を喀出ことを言い、有声有痰を咳嗽と呼び、有声無痰を咳逆と呼びます。
咳嗽には急性と慢性があり、急性は外感病として実症が多く、慢性は内傷による虚症が多い