私たちの日常では、食物を食べると、大便として排泄されますが、それまでの行程で、消化吸収を行われるのが小腸と大腸です。
まず、小腸では胃から送られてきた粥状の食物から栄養素の大部分と水分の約85%を吸収して大腸へ送ります。
大腸では水分とナトリウムを吸収して、1日に数回起こる大蠕動(胃ー大腸反射)によって直腸に運ばれます。
直腸では圧縮され固形状の糞便で腸壁が圧迫を受けると、骨盤神経を介して大脳に伝えられて便意を催し、脳が絶えず抑制している排便反射の抑制が解かれ、それと脳からの指令で横隔膜及び腹筋が収縮して、排便がおこります。
上記イラストは医歯薬出版株式会社発行「生理学第版」より
糞便内の水分量が多くなり、泥状または水様便で排便の回数も多くなる事をいう。
腸の蠕動運動及び分泌の亢進、吸収障害などが種々組み合わさって下痢が出現する。
下痢には急性下痢と慢性下痢があり、下痢を訴えている場合には、回数、高度、色、臭気、消化状態、血液・粘液・膿の混入などに注意が必要となる。
総ての下痢にたいして鍼灸治療が適応とはならないが、慢性胃腸炎によるもの、大腸の過敏で起こるもの、は発生頻度も高く鍼灸治療が最も有効となる下痢である。
<治療穴>
腎兪、天枢、大腸兪、水分、上巨虚、胃兪、脾兪、中脘、気海、足三里、曲池、
東洋医学では下痢を泄寫といい、しぶり腹を伴わないものをさします。
泄寫には、急性泄寫と慢性泄寫があり急性では、外邪や飲食不節に依り起こり、実症のものが多くなります。
慢性では、肝脾不調、脾胃虚弱、胃陽虚により起こり、虚証のものが多くなります。