認知症とは、脳や身体の器質的障害からの疾患を原因として、記憶・判断力などの障害が起こり、正常に発達した知能が低下した状態で、通常の生活に困難が現れた状態をいいます。
認知症はかって「痴呆」と呼ばれていましたが、2004年に厚生労働省用語検討会で「認知症」に置き換えられました。
【認知症の定義】
A. 以下の1と2の両者を含む複数の認知障害 1.記憶障害(新しい情報の学習障害、過去に学習した情報の想起障害) 2.以下の認知障害が一つ異常ある a.失語:言語機能障害 b.失行:運動障害がなく運動ができない c.失認:感覚障害がなく物の認識ができない d.遂行機能障害:計画、組織、順序だて、抽象化
B.上記1,2の為に社会的・職業的に障害が起こり、以前の機能水準か ら明確に低下している
認知症は、下の表の様に分類されますが、老齢期認知症患者の80%~90%がアルツハイマー病と脳血管性認知症で占められています。
また、アルツハイマー病と脳血管性認知症の鑑別も下記にあります。
アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症を脳の画像イラストで比較すると、かきの様になります
アルツハイマー型認知症は大脳皮質のに広汎に起こる進行性の脳変性疾患で、脳萎縮や老人斑(組織学変化でアミロイド周囲を変性崩壊した神経組織が取り囲んでアミロイド自体にも異常がでる)が出現し、比較的に女性に多く発症する。
【特徴】 基本症状は知的機能障害で、記憶・記銘力障害、失見当識、計算力低下、言語理解力低下、自発語(語間代、反響言語、同語反復)、失行(運動障害がないが行動ができない)がある。
脳血管性認知症は大脳の多発性血管性病変によって生じる認知症で、アルツハイマー型に次いで多くを占めていて、特に多いのは多発性脳梗塞による事が多く、脳梗塞患者の約20%程度が認知症を起こすと言われています。
【特徴】 65歳以上の高齢者で、高血圧や糖尿病の罹患者に多く、夜間の興奮、幻視、せん妄、まだら認知が出現するが、人格は保たれていて病識はある。
( 1)レビー小体型認知症 大脳皮質や脳幹にレビー小体といわれる特殊なタンパク質構造物がまばらに出現し、集まったいる場所は神経細胞が破壊されていき減少するので、神経伝達が滞る為に認知症状が現れます。
しかし、アルツハイマー型のゆっくりと進行するとは違い、頭脳がしっかりとしている時と悪いときが繰り返しながら進行していく 初期症状:便秘、臭覚異常、鬱症状、レム睡眠行動障害、物忘れ、 立ちくらみ、段取りの悪さ、幻視、錯視、被害妄想、 嫉妬妄想、パーキンソン症状が現れる
中期症状:パーキンソン症状強くなる、歩行困難、幻視・妄想が顕著 介助支援が必要になる
後期症状:パーキンソン症状の悪化、認知障害の悪化、常時介助
(2)パーキンソン病 中脳の黒質が変性して、神経伝達物質のドーパミンが減少することら、広範囲に阻害されて、認知症が発生すると考えられています。 パーキンソン病では患者の約20%が認知症化を示しています。
アルツハイマー型認知症では、一時的に記憶改善や意思向上を目指して、脳内アセチルコリンの濃度調整を行う投薬が行われているが、脳血管性認知症では薬物投与での症状改善は困難で、危険因子のコントロールとリハビリが主な治療となっています。
鍼灸治療を行う事で、症状緩和や進行鈍化が期待できる。
各部位で分類をしてあります。このうちから反応がある経穴を選別します
『頭 部』四神聡、百会、神庭、水溝、風池、風府
『体幹部』腎兪、脾兪、気海
『上肢部』神門、内関、外関
『下肢部』湧泉、太谿、照海、三陰交、足三里、血海
東洋医学では記銘力の減退を主徴とし、記憶・判断・計算・認識の能力の減退と性格・人格の変化をきたす症状をさしていて、病の元は脳ではあるが、心・脾・腎ン機能と密接に関係しています。 また、肝・胆・三焦とも関わりをもっています。
治療は心は神(精神の中枢)を蔵し、脾は統血(血流調整)を主り、腎は髄(脳)を生じると言う事で「養心・補脾・益腎」を基本として治療穴を選択します。