膝の痛みは、腰痛と共に痛みの訴えでは多くの方に於ける主訴となります
その原因として、現代医学の整形外科的に見た原因と、東洋医学から見た原因とに分けてみます
現代医学からの諸原因は (1)加齢による退行変性 (2)スポーツ障害 (3)慢性関節リュウマチを代表とする炎症性疾患
東洋医学からの諸原因は (1)外傷、長期局所負担、古傷(気滞、瘀血) (2)老年、久病、房事過多(精血不足) (3)風、寒、湿の外邪侵入(痺症)
膝関節は人の骨格で最長で最大の大腿骨と脛骨を連結する関節で、体重を支えて安定させ、かつ運動性も要求される関節故に障害も起こりやすい。
現代医学でも、膝関節痛の治療に鍼灸治療を用いている処が多くなってきていて、中でも変形性膝関節症が多くの治療効果を期待できうる疾患となっている
変形した関節が元に戻る可能性はなく、完全治癒は望めないが、疼痛や腫脹の症改善には有用な治療法の一つとなっています
共通の経穴 犢鼻、内膝眼、膝内、委中
内側の経穴 陰陵泉、膝関、血海、曲泉、陰谷、地機、漏谷
外側の経穴 陽陵泉、足三里、梁丘、委陽、浮郄、合陽
50歳以上の女性に多い変形性膝関節症は軽症の場合は、膝を動かす時に鈍痛と腫脹があり座位が困難となり、進行すると膝に水が溜まる様になり、次第に関節可動域の制限を受ける、退行性変化が起こります。
{防己黄耆湯}防己12g、黄耆15g ,甘草6g 、白朮9g、生姜3g 、大棗3g この処方で腫脹・疼痛共に去り、動作の制限がとれ、多くは1ヶ月位 の服用で効果が現れる。※麻黄湯を加える場合も良い。
{越婢加朮湯}麻黄9g 、石膏13g、生姜9g、甘草6g、大棗6g 防己黄耆湯や防己黄耆湯加麻黄でも良くならない場合に用いるか、 防己黄耆湯と合方しても良い。
{桂枝茯苓丸料加薏苡仁}桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・赤芍・各9g、 薏苡仁を加える 血脈を温通し瘀血を除き、利水精熱解毒をはかり、疼痛緩和と腫脹を 治す。
人間の全体重の半分ずつが左右の膝にかかるが、人それぞれの重心位置によってどちらかの足に負担が多くなると、大腿骨は外側に回旋し、脛骨は内側に回旋して、障害を起こしやすくなる。
また膝関節には大腿動脈からの続きで内転筋腱裂孔から膝窩動脈が始まり、その枝が膝関節の上下と前後とを取り巻いて動脈網を作っていているので、血液の流れの変調によって平行して走行している脛骨神経と総腓骨神経の枝が索引されると痛みが現れます。
{施術法}
①左右・前・回旋の動きが一番悪い運動の反対側への間接法
②膝窩揺動運動
③膝関節屈曲分離
④脛腓関節調整
⑤膝蓋靭帯カウンターストレーン
⑥膝関節筋膜リリース
⑦大動脈弓リリース