睡眠はレム睡眠(身体の睡眠)とノンレム睡眠(脳の睡眠)に分けられていて、通常90分を1サイクルとして、一晩に3~5回繰り返されています。
◎レム睡眠(身体の睡眠)
急速な眼球運動を伴い、抗重力筋の緊張が消失して、身体が無 動化するので身体の睡眠と言われる。妨害されると、身体の不 全感や集中力が欠けることから、重要とされる。睡眠の後半に 多く現れ全体の25%とされる。夢を見ている事が多く、陰茎 の勃起もこの時に起こる。
◎ノンレム睡眠(脳の睡眠)
エネルギー保存の役割を担うとされ、脳の睡眠と言われている。 4段階に分けられている。 ・1段階:入眠時のウトウト状態で、外界に僅かな刺激でも目 覚め、眠っている感覚が無い状態。全睡眠の約5%。 ・2段階:入眠に引き継ぐ段階で、まだ僅かな刺激ででも目覚 め、全睡眠の約50%とされる。 ・3段階:中程度のやや深い眠りで、寝息を立てて少しの刺激 では目覚めない。3と4の段階が全睡眠の20%とされる。 ・4段階:完全に深い熟睡状態で、体動も少なく15~20分 間も全く動かない事がある。この眠りは前半期に多い。
睡眠時間の平均は成人で平均7~8時間ととされていますが、それ以下が不眠だとは定義されてはいません。しかし、不眠を訴える方にも、二通りの人がいます。
真の不眠 :実全不眠で実際に覚醒して不眠を訴える 偽りの不眠:実際には睡眠しているが、寝ていないと感じている人で、 神経症性不眠に多い
1 入眠困難型睡眠障害
通常は30分以内に睡眠するとされ ていますが、寝付きが悪く、甚だしい 時には一晩中一睡も出来ない事もあ り、神経症的傾向に多く、悪夢を伴 うと睡眠に対する恐怖が生じたり、 睡眠に過度の期待を抱くことがある。
2 中途覚醒型睡眠障害
眠りが浅く、僅かな物音で目覚め、 睡眠持続が悪く、一晩に何度も目覚 めてしまう。ノンレム睡眠の3.4 が乏しい状態。脳器質傷害・鬱病等 の患者にみられ、老齢性鬱でも発症 する。
3 身体的不快型(疼痛など)睡眠障害
内科、外科的な疾患に伴って、不快 感から睡眠が浅くなり、覚醒する。 糖尿病性掻痒(レストレスレッグス症 候群)などでも傷害が起こる
4 早朝覚醒型睡眠障害
寝付きは良いが早朝に目覚めて、眠 りたいと思いつつ眠られない。 老人性不眠などで、朝早くから活動 して家人に迷惑がられる。
睡眠過剰症 ナルコレプシー(居眠り病)
不眠症とは逆の現象を起こす過眠症
急に起こる睡眠ー覚醒リズムの乱れから、眠気・居眠り・居眠り発作・脱力等がおこり、長年月において毎日続く傾眠性の疾患で、精神的な葛藤や喪失体験などに対する反応として起こるとされています。
上記のイラストは医療情報科学研究所発行「REVIEW BOOK」より
不眠症の誘因や原因は生活習慣、環境、服薬する薬剤、身体疾患、精神疾患などの多岐にわたっている。
日本の人口で成人の21.4%の人は不眠の訴えを持っています。 性別では女性に多く20~30代に始まり、40~50代がピークとなる。睡眠のこだわりや、睡眠に対する誤った知識、誤った睡眠習慣、不眠による影響の誤った知識などで、不眠への恐怖や睡眠への過剰な努力が更に緊張感を生み出します。
★ベンゾジアゼピン受容体作動薬を主に処方される。
超短時間作用型:ゾピクロン、ゾルピデム、トリアゾラム、 エスゾピクロン
短時間作用型:ブロチゾラム、ロルメタゾラム、 塩酸リルマザホン
中時間作用型:フルニトラゼパム、ニトラゼパム、ニメタゼパム エスタゾラム、スポレキサント
長時間作用型:クアゼパム、フルセゼパム、ハロキサゾラム
不眠症の鍼治療で、一過性の不眠に対しては非常に効果が期待できるが、持続性不眠では効果にばらつきがあり、老年性不眠では持続性不眠に他の疾患に伴う症候性不眠が伴うために長期の治療を要する。
<治療穴>太陽、完骨、肺兪、心兪、中脘、内関、蕨陰兪、失眠、安眠
洋医学では不眠の事を「不寐」「失眠」と呼び、次の三通りに分けられる
◎実症としては、痰熱・肝熱が心神に影響を及ぼして不眠となる
◎虚証としては、心神が養われないので不眠となる
◎虚実挟雑として、腎陰が不足し心火を鎮められなくて不眠となる
不眠は生活上で時間的や経済的にゆとりある人に多くみられる事から、生活条件の改善と日常の生活習慣お改善を試みる事がひつようとなる。
(1)就寝前に興奮状態を引き起こす、読書・テレビ・会話を行わない。
(2)夜には興奮を起こす緑茶・コーヒー・紅茶をとらない。
(3)眠たくなってから床につく習慣とする。
(4)床についてから、飲食は慎む。
(5)寝る時間が遅くても、起床時間は一定時間にする。
(6)寝られなくとも、床の中には8時間以上はいないで、起きる。
(7)眠るために過度に努力せず、目をつむり静かに横たわる。
(8)雑念がわくときは、考えの続きを打ち切る。
(9)雑音が気になる時は耳栓を使用する。
(10)同室者のイビキには、自分の呼吸を合わせる。
(11)昼寝はしない。
以上の項目の遂行が不眠解消へと繋がります。