神経痛とは厳密な定義に基づくものではなく、特定の神経に疼痛を起こす症候群をいみします。 三叉神経痛、帯状疱疹後神経通など。
『特徴』
1.単一(もしくは複数)の末梢神経(脳・脊髄)の支配領域に局限する。
2.発作性の激痛
3.末梢神経支配領域の運動、感覚、反射などの神経学所見はすべて 正常である。
4.通常は一側性である。
三叉神経痛とは、脳の橋から起始する第五の運動と知覚を司る混合性の神経であり、脳の抹消神経で最大であり、3本の神経枝がそれぞれの支配領域を持っていて、作用は顔面の知覚と咀嚼運動を行います。
第1枝は眼神経で上眼窩裂から顔面にでてきます。
第2枝は上顎神経で脳頭蓋・蝶形骨の正円孔から顔面に出ています。
第2枝は下顎神経で脳頭蓋・蝶形骨の卵円孔から顔面に出ています。
三叉神経痛の発症率は男性の約2倍に女性が多い疾患で、突発性三叉神経痛(近年では近接する脳動脈の圧迫が多数であると明らかに)と脳腫瘍などの基礎疾患からの症候性三叉神経痛に大別されます。
突発性は50歳代以降に多く、症候性は若年に発症例が多く、遺伝性はないとされています。
三叉神経痛の発現頻度では、第2枝と第3枝に多く、上下口唇、鼻翼、口角から頬、上眼瞼、歯肉、舌などに出現する
また、90%以上が一側性で疼痛が出現している。
痛みは突発的に出現し、おおよそ数秒から間1~2分間持続した後に消失して、発作性に数分から2~30分間のサイクルで繰り返される。
上記文章、イラストは株式会社学習研究社発行「脳・神経疾患ナーシング」より
三叉神経痛では、頚部、肩背部の筋緊張を生じる症例が多いので、三叉神経痛の痛みで、単枝でも複数枝でも使用して、効果が得られる経穴があります。
風池、肩井、膏肓 に15分間程度の置鍼をする。
舌咽神経は内頸動脈の下と茎突咽頭筋の間を下行する事から、茎突咽頭筋が過剰に緊張すれば、舌咽神経を圧迫する可能性から、疼痛が発生すると考えられています。
<治療穴>
天牔、天窓、扶突、天容、翳風
顔面痛とは、顔面の一部に起こる発作性・一次性の激しい疼痛で、一側性で前頭部・上顎部・下顎部に起こる事が多い。
「面痛」「頬痛」「偏頭痛」と言われ、希に「両頷痛」もみられる。
病因として、外因(風・寒・湿など)、内因(情志失調・飲食不節など)、不内外因(労倦・老化・房事過多など)があり、それぞれに実症と虚証があります。
巷で、顔面痛と顔面麻痺を混同している方たちがいらっしゃいますが、そもそもの支配神経の三叉神経が顔面の知覚と咀嚼運動に関与し、顔面神経が表情筋運動と味覚、副交感神経に関与している事の違いがありますので、「三叉神経痛」という神経痛はありますが、顔面神経関与では「顔面神経麻痺」と言う事になります。
発病機序と発生箇所が共通する処はありますので、混同しやすいのも致し方ないかもしれません。
脳の末梢神経12腫の中で知覚を受け持つ神経は、5番の三叉神経と9番の舌咽神経、それに10番の迷走神経の三種類です。
ただ、知覚神経としての味覚は舌の後ろ側1/3が舌咽神経が支配していて、舌の前2/3は顔面神経が支配しています。