うつ病と誰にでも起こる憂鬱が極端に出て重い感情の状態で、専門に携わっている精神科医にとっても診断が難し病です。
うつ病を英語で言うと「depressionデプレッション」と言われていて、日本語に訳すと「エネルギーが低下した」状態を示します。
と言うわけで、うつ病とは「心神のエネルギーが低下している状態」といえます。
このエネルギーを補うには、まずは「休む事」です。
そして、必要があれば医師に相談して投薬や心理療法を取り入れて、ゆっくりと充電する事が必要になります。
うつ病のハッキリとした原因は現在解明されていなく、脳内で神経の伝達物質としてはたらいているモノアミンの不足や機能の低下から起こるものなのか、過度のストレスや身体の病気、取り巻く環境の変化から起こるものかの特定はされていません。
脳からの神経伝達物質の減少や機能の低下、日常生活に起こるストレスや身体の病気、環境変化などの要因が絡まり合って発病するのではと考えられていて、専門家はバイオ(生物学的視点)・サイコ(心理的視点)・ソーシャル(社会的視点)と言う用語が使われていて、多角的な治療の必要性を述べています。
ストレスや環境変化では、悲しい出来事ばかりではなく、嬉し事や明るい出来事が切っ掛けとなる場合もあります。
遺伝との関係も研究されていますが、特定の遺伝子があれば発症するというものではなく、家族性などが考えられています。
神経伝達物質の種類と関連
脳には様々な神経伝達物質が存在し働いていて、その内でセロトニンとノルアドレナリにドパミンをモノアミンと総称されていて、このモノアミンの減少が要因ではないかとされていまが、しかし現在ではこの仮説だけでは病態生理を説明できなくなってきています。
株式会社照林社「得意になる解剖生理」より
うつ病発症の要因
【環境的要因】 ・仕事関係~失業、定年、昇進、降格、失敗 ・家族関係~結婚、妊娠、出産、離婚、子供の事、家族の事 ・金銭関係~相続問題、税金問題、借金問題、貧困 ・環境変化~引っ越し、災害、配置転換、降格 ・健康関係~病気、事故 ・喪失体験~離婚、失踪、死去
【身体的要因】 ・更年期、脳障害、感染症、出産後、閉経後、癌、甲状腺障害、 慢性疲労、薬剤性など
うつ病になりやすいタイプ
うつ病になりやすいタイプには、生真面目で社交家、周囲の評判が高い人が多いとされています。 このタイプの人は自分自身が抱え込める問題の許容範囲を超えて頑張りすぎて、ストレスをため込んでいて心の病んでしまいやすいようです。
【循環気質】 周りからも元気すぎると言われる躁状態と、抑うつ鬱状態を繰り返し ている双極性うつ病になりやすいタイプ。 社交的・善良・親切・親近感のある反面に突如に激高しやすい面がある
【執着気質】 完璧主義、几帳面、仕事熱心、義務感が強く凝り性なタイプ。 仕事に没頭し質は高いが量をこなせない、仕事が終了した後の焼失感 を感じて抑うつ状態になりやすく、白か黒、ゼロか100の極端な 固執があり、優先順位が決めかねる面がある
【メランコリー親和型気質】 他人との関係性を重視し、常識を重んじ、常に他人を配慮し、自己 犠牲型で他人の評価を重要視しているタイプ。 問題発生の時には悲観的となり総ての事象が自分の責任として考えて しまう
厚生労働省の調査では、「うつ病」の患者数は近年、増加傾向で大凡73万人との統計があり、別の調査では15人に1人の割合で「うつ病」を経験しているとの推定調査があります。
このように、「うつ病」は誰でも起こりうる、身近な病気といえます。
『表現が出来ないほどの気分の落ち込みや興味の消失が2週間以上続いて仕事や日常生活に支障が起こる』などがみられると、うつ病が疑われるので、専門医の診断を受ける様にします。
うつ病になると「心の症状」と「体の症状」が現れます。
うつ病では脳の働きに何らかの問題が起こっていると考えられ、抑うつ気分等の心の症状と、疲労・倦怠感等の体の症状が現れてきて、強い気持ちを持って気力で治そうと言う問題では無く、治療が必要な病気です。
心の症状 ・抑うつ症状として現れる 何をしても楽しくなくやる気が出ない 物事を悪い方向に考えてしまい不安な気持ちになる 気分が重苦しく虚しい気持ちでで泣きたくなる 人の話や物事の興味や意欲が湧かない 生活一般が面倒になり、イライラ感が出やすい 知らない世界へ行きたい、消えてしまいたい等の自殺願望
体の症状 ・色々な体の不調や不良が多くなる 食べなくては思うが食事が喉を通らない 何時も体がだるく疲労・倦怠感がある 肩こりや背中に痛みがあり、体が重い 頭痛・耳鳴り・吐き気・口の渇・便秘・下痢きなどの体調不良 寝ようとしても眠れない、朝早くに目覚めるなどの睡眠障害
うつ病になると精神的症状や身体的症状が現れますが本人よりも家族や友人、職場の同僚達が気づく事が多く「最近、いつもと違っているかな?」と感じるる事が多い。
その症状が2週間以上続いているようでしたら、専門医などの受診を促す様にして、早期の治療へと導くのが必要になります。
下記のチェックポイントが多数あると「うつ病」の疑いがあります。
うつ病治療の基本
うつ病を治療する方法には、休養、精神療法、薬物療法などがあり、これらを組み合わせて治療が行われます。 休む事が治療に結びつくのは、休養は柵(しがらみ)からの開放で、精神も体もユッタリとし寛げる空間を提供してくれます。 しかし、生活のリズムを整える事も必要ですので、何時までもベットでの生活やパジャマ姿で過ごすのでは無く、決まった時間に起きて着替えをする等の生活リズムを整えて、睡眠中心の生活からの脱却も心がけましょう
精神療法とは 医師やカウンセラーによる対話を重ねて、問題解決の糸口を見つけ出 して、一つ一つの問題を取り除いていきます。 精神療法(心理療法)の中に認知療法と行動療法がありましてが、1990 年代に合体して「認知行動療法」と一つの療法として呼ばれるように なりました。
「ものの受け取り方や考え方」を認知と言われますが、この認知が時と して普段は適応的に行われていますが、強いストレスを受けている時、 うつ状態に陥っている時などは、認知に歪みが起こって抑うつ感や不 安感が強まり、非適応的な行動が多くなり、更に認知の歪みが大きく 引き起こされる様になります。
人は何かの出来事があったときに瞬間的に浮かぶ考えやイメージを「自動思考」と言って、辛くなったとき頭に浮かぶイメージの「自動思考」に働き掛ける事によって、ストレスに強い心を育てる療法です。
「貴方が悪いのではありません」考え方がチョット偏っているのです。 人は変えられませんが、考え方はいくらでも変えられ、柔軟な発想を得る事だってできます。
気持ちは考え方に大きく影響を受けます。 例えば、貴方が棚の物を取ろうしていたら、それが落ちて壊れてしまいました・・・その時に貴方の「自動思考」は
1.もう少し慎重にすれば良かったのになんてドジなんだろう ⇒憂うつ感
2,周りの人も手伝ってくれたら、こんな事にはならなかったのに ⇒怒りの感情
3,もしもあたまに落ちてきていたら怪我をしていたかも ⇒恐怖感
4,だれも怪我をしなくて良かった ⇒安心感、安堵感
以上の「自動思考」のパターンでもストレス度合いの違いが歴然としています。このような思考を身につけていこうとするのが「認知行動療法」です。
薬物療法
抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬、気分安定薬など、脳の神経に直接作用してさまざまな精神症状を改善する薬を総称して「向精神薬」といって、さまざまな症状に対して処方されますので、症状の改善には決められた服用を守る事が必要になります。
三環系と四環系の抗うつ薬は副作用が強いために特別の場合を除いて今はあまり使用されなくなりました。
【抗うつ薬】
SSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬) フルボキサミン :デプロメール、ルボックス、他 パロキセチン :パロキセチン、パキシル セルトラリン :ジェイゾロフト エスシタロプラム:レクサブロ
SNRI(セレトニン・ノルアドレナリン再取込阻害薬) ミルナイプラン :トレドミン デュロキセチン :サインバルタ
NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン) ミルタザピン :レフレックス、レメロン
その他の構造 トラゾドン :レスリン、デジレル、他
三環系抗うつ薬 イミプラミン :トフラニール、他 アミトリプチン :トリプタノール、他 クロミプラミン :アナフラニール、他 アモキサビン :アモキサン、他 ドスレピン :プロチアデン、他
四環系抗うつ薬 マプロチリン :ルジオミール、他 ミアンセリン :テトラミド、他
東洋医学では「鬱証」といい、抑鬱・情緒不安定・胸脇腸満・疼痛・怒りっぽい・よく泣く・喉の梗塞感・不眠などの複雑な症状が現れます。
気機が鬱滞して長期に渡り改善されないと、病は気から血におよび、そのために多くの病変に変化する可能性があります。
鬱症では生命エネルギーである「気」の流れが滞り流れが悪くなっていると考えられ、これらの改善の為に用いられる。 抗うつ薬と共に使われたり、抗うつ薬の副作用緩和で使われたりします。
【半夏厚朴湯】行気剤 半夏9g、厚朴9g、茯苓12g、生姜9g、紫蘇葉6g 行気解鬱・降逆化痰を目的に気鬱の状態を緩和
【帰脾湯】気血双補剤 白朮・茯神・黄耆・竜眼肉・酸棗仁各9g 、人蔘・木香角4.5g、 炙甘草・当帰・遠志各3g 益気補血、健脾養心を目的に心脾両虚を治す
【十全大補湯】気血双補剤 人参6g、白朮9g、茯苓9g、熟地黄12g、当帰9g、白芍9g、川芎6g、 炙甘草6g、生姜3g、大棗2g 気血双補を目的に気血両虚を治す
【補中益気湯】補気剤 黄耆15~30g、炙甘草6g、人参9g、当帰9g、チンピ6g、升麻3g、 柴胡3g、白朮9g 補中益気、昇陽拳陥を目的に気虚を治す
オステオパシーに於いて、頸椎に乗っている後頭骨が、安定して乗るためには、頸椎1番(環椎)の上関節窩(左右に2対)に後頭骨の後頭顆が程よく納まっている事が必要と考えられています。
理由としては脳からの伝達を全身に伝える脳幹と脊髄は、頭蓋骨の中にある大脳を下から支えている小脳テントと、左右を分けている大脳鎌は二枚構造になっていて、ゆとりを持っていますが、後頭骨がずれると頭蓋骨の内側に付着している小脳テントと大脳鎌に歪み(ストレイン)が起こって、大(後頭)孔を通る脳幹部からの中枢神経を引っ張り、神経に緊張が生じてしまい、あらゆる変調が起こる事になります。
この後頭顆を正常に維持する必要性は、他にも脳脊髄液の流れにも影響して、脳の冷却と全身への栄養補給に変調を起こさせて無いようにします。
また大脳の視床下部の下に脳下垂体があり、内分泌系を納めています。 この内分泌系は神経系と同様に生体機能を調節していて、ホルモンの分泌をコントロールしています。
大脳からの神経系と視床下部からの内分泌系に大きな影響を及ぼしてしまう後頭顆の調整がいかに大切かが少しはお解りになりましたでしょうか。
以上の事から下記の施術が行われる
【後頭顆調整】 左右の後頭顆には上下の接点があり、それぞれに自由な動きがあるが その動きの制限を取り除く施術
【側頭骨調整】 側頭骨と関節を有する蝶形骨とアステリオン(縫合位置)を乳様突起を 動かして調節する施術
【蝶形骨調整】 この骨のトルコ鞍に乗る脳下垂体に掛かる歪みを調整する施術