1型糖尿病、2型糖尿病、そのほかの特殊型がある

糖尿病

糖尿病はインスリン作用の絶対的または相対的不足によって引き越される糖質代謝を主とする種々の代謝異常を起こす疾患です。

次の3項目で1つ以上該当すれば「糖尿病型」と診断されます。     ①随時血糖値200mg/dl以上                   ②空腹時血糖値(FBS)126mg/dl以上                 ③75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)で200mg/dl以上

「糖尿病型」と一度診断され、さらに別の日でも上記の項目がい1つ以上あれば「糖尿病型」と診断される。しかし、一度の診断時に次の4項目に1つ以上該当すれば、一度の検査で「糖尿病型」と診断される。    ①口渇、多尿、多飲、体重減少など糖尿病の特徴的症状を示した場合  ②HbA1c≧6.5以上                         ③糖尿病性網膜症がある                      ④糖尿病型の既往がある

糖尿病は、若年者に多い1型DM(インスリン依存性糖尿病)と、中年以降に多い2型DM(多くはインスリン非依存性糖尿病)に分類せれます。

糖尿病は典型的な慢性疾患で、病歴や病態のの把握が求められて、症状などでは細小血管が広範囲に侵害されやすく、様々な合併症を起こし、特に網膜症・腎症・神経症(ニューロパチー)の3大合併症が知られています。

糖尿病によくみられる症状

糖尿病の合併症

急性合併症

糖尿病性昏睡

 1)ケトアシドーシス昏睡                     高度のインスリン作用不足よって起こるケトーシス、アシドーシスが  主徴で、同時に脱水が加わることで起こる意識障害であり、1型糖尿  病に見られる事が多く、患者自身によってのインシュリン注射の中止  や感染症などが誘因となる。

 2)高浸透圧性非ケトン性昏睡                   著しい脱水が先行し循環不全を起こす状態で、比較的軽症の2型糖尿  病患者やそれまで糖尿病と診断されていない者にも起こる。      重症感染症、下痢、嘔吐、糖尿病治療薬の減、高カロリー輸液投与な  どが誘因となる。

感染症

糖尿病の患者は感染症にかかりややすく、主な感染症として呼吸器感染症、尿路感染症、皮膚感染症があります。

1)呼吸器感染症                          感染症の中で最も多い感染症で、肺炎肺化膿症、それに最近症例の  減少をみる肺結核、等があります。

2)尿路感染症                           女性に多く見られるのが尿路感染症で、無症候性の場合もあるので注  意が必要となります。頻度的には膀胱炎腎盂腎炎が多い。

3)皮膚感染症                           自律神経障害から下肢発汗低下から乾燥傾向を招き、また視覚神経障  害から痛覚鈍麻から傷や炎症をおこしやすく悪化傾向となります。

皮膚感染症の好発部位

慢性合併症

  • 1
    糖尿性網膜症
    a.単純性網膜症:毛細血管瘤、硬性ないし軟性白斑を呈する b.増殖性網膜症:網膜の血管新生、硝子体出血など 
  • 2
    糖尿性腎症
    最初の徴候は蛋白尿、病状の進行によりしばしばネフローゼ症候をきたし、原則として尿潜血反応は陰性である。
  • 3
    糖尿性神経障害
    a.自律神経症状:起立性低血圧、低緊張性膀胱、糖尿病性   胃腸症、勃起障害(インポテンツ)
    b.体性末梢神経症状:下肢末端の知覚障害(痛覚過敏、痺れ)
  • 4
    その他
    a.末梢循環障害(潰瘍、壊疽):末梢神経障害を基盤としている
    b.動脈硬化症(アテローム硬化症)
     ①ASO(閉塞性動脈硬化症)
     ②虚血性心疾患(無痛性の場合が少なくない)
     ③虚血性腸炎
     ④脳卒中
     ⑤肝機能障害
     ⑥高脂血症(黄色腫)
     ⑦骨粗鬆症

現代医学の鍼灸治療

糖尿病の治療目的は長期にわたる代謝異常の改善と合併症の予防を目的として、一般的には食事用法、運動療法、インスリン療法又は経口血糖降下剤服用の療法が組み合わせておこなわれる。

ここに、鍼灸療法を組み入れて、全身状態改善、血糖値と尿糖値の降下、合併症予防を目的として行う。

<治療穴>

中脘、梁門、腹哀、肝兪、脾兪、三焦兪、曲池、足三里、腎兪、内関、 太陽、風池

東洋医学の鍼灸治療

糖尿病を東洋医学では「消渇」といい、多飲・多食・多尿・身体消痩・尿濁・尿の甘みを主症とする病とされています。

「消」とは飢えることを意味し、「渇」とは多く水を飲むことを意味していて、癰疸(ヨウタン:皮膚化膿症)を多く発すると記されています。

消渇の主な病機は「陰虚燥熱」で、滋陰により「本」を治し清熱により「標」を治すを目的とします。

 

病因・病機

  • 1
    飲食不節による消渇
    長期にわたり飲酒・甘い物・美食の継続で脾胃を損傷し、熱が籠もったり、化燥して陰分を損傷すると消渇が起こる。 
  • 2
    情志失調による消渇
    長期にわたり思慮過度・情緒不安によって五志が極端に過敏となり、化火して肺陰に影響して消渇が起こる。
  • 3
    陰虚による消渇
    つねづね陰虚である者が、房事不節などで陰精を損傷し陰虚火旺となり、肺・胃に影響すると消渇が起こる。

消渇の病機の基本は、陰虚が「本」燥熱が「標」であり、なかには陰陽が共に虚して、気陰両虚により起こるものもある。

消渇の末期では瘀血が関与するものが多い。

三焦においての証を分類する

  • 1
    上焦に於ける消渇
    <主症状>
     煩燥、多飲口渇、舌の乾燥
    <随伴症状>
     頻尿、多尿、多食
    <舌・脈>
     舌尖・舌辺紅、舌苔薄黄、脈洪数
    <治療穴>
    肺兪、魚際、心兪、少府、合谷
  • 2
    中焦に於ける消渇
    <主症>
     多食善飢(大食いで何時も腹がすく)

    <随伴層状>
     煩熱、多汗、身体消痩、大便秘結
    <舌・脈>
     舌苔黄脈滑実有力
    <治療穴>
     脾兪、胃兪、内底、曲池、三陰交
  • 3
    下焦に於ける消渇
    <主症>
     頻尿、多尿、尿の混濁

    <随伴症状>
     唇乾燥、眩暈、目がかすむ、両頬紅潮、お腹がすくが食べ  れない、寒がり、四肢の冷え、尿量多、顔色黒
    <舌・脈>
     舌質紅、舌苔白、脈沈細無力
    <治療穴>

     腎兪、復溜、太衝、三陰交、肝兪

消渇の治療では食事に於ける自己管理が最も重要な事で、甘いものは当然で、脂っこいものも控えで量的にも腹七分~八分までとし、刺激性の強い食品の摂取は控えることが必要です。

糖尿病の漢方薬

糖尿病は代表的な代謝疾患で膵臓から分泌されるインシュリンの作用不足から起こる高血糖状態の病気である。

八味丸>                             熟地黄24g、屋脈・山茱萸各12g、沢瀉・茯苓・牡丹皮各9g、      桂枝・炮附子各3g                         元来、口渇・多尿・疲労倦怠・腰痛・性欲減退などを目的にとするの  で糖尿病に用いるが、胃腸障害からの食欲不振・嘔吐・下痢がある場  合には用いない

大柴胡湯加地黄>                         (柴胡15g、黄芪9g、白芍9g、半夏9g、生姜12g、枳実9g、大棗4g、   大黄6g)(地黄適量)                         糖尿病でも比較的初期で、体力があり腹部が膨満して胸脇苦満が著名  な者に用いる。便秘症状がなければ大黄を取り除いて処方する。

白虎加人参湯>(石膏30g、知母9g、炙甘草3g、粳米9g)(人参9g)     糖尿病の比較的初期で体力があり、血色が良く、口渇と多尿を主訴とす  る者に用いる。

麦門冬飲子>麦門冬12g、人参8g、葛根12g、地黄12g、知母10g、   括桜根12g、茯苓12g、五味子6g、甘草6g、タラ根10g         糖尿病で肺結核を併発し、栄養が衰え、皮膚が枯燥そ口渇と多尿を主  訴とする者に用いる。

四君子湯>人参6g、白朮9g、茯苓9g、炙甘草6g            病気が進行して衰弱が著しく、食慾もなく、貧血、下肢の浮腫がみら  れ、脈も微弱となった者に用いる。

防風通聖散>防風・荊芥・連翹・麻黄・薄荷・川芎・当帰・白芍・   白朮・山梔子・大黄・芒硝各1.5g、石膏・黄苓・桔梗各3g、甘草6g、  滑石9g                              腹部が全体に膨隆し、のぼせ・頭痛・肩こりなどを伴う肥満体質者に  用いる。 

お電話でご予約 ☎0155-66-4199

その他の症例

パソコン|モバイル
ページトップに戻る